ネタの旅

路線バスだけで金沢−富山間を移動できるか?


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2002年7月13日
【金沢駅前】11:15発−(加越能バス・森本・福光経由)→【砺波駅前】12:35着(実際は12:49)、13:10発−(加越能バス)→【高岡駅前】13:49着、14:15発−(富山地鉄バス)→【富山駅前】15:18着(実時刻。予定時刻は不明)
参考:【金沢】11:20発−(普通)→【富山】12:17着
   【金沢】11:16発−(特急サンダーバード7号)→【富山】11:52発
 なお、これ以降、東富山・水橋駅を取材していますが、これは改めて掲載します。

 6年前に金沢駅から福井まで(森田駅前で降りましたが…)、路線バスを乗り継いで行ったことがある。その第二弾、今度は逆方向の富山駅前まで行けないかということを、考えていた。それで、数年前に実際にやってみよう、と思ったのだが、なんやかんやとやらず終いで数年。ようやくやってみることにした。


運賃明細:金沢駅前−砺波駅前 1,300円(同区間をJR高岡経由で行くと950円)
     砺波駅前−高岡駅前  480円(同区間をJR城端線で230円)
     高岡駅前−富山駅前  720円(同区間をJR北陸本線で320円)
         計     2,500円(同区間のJR普通運賃950円、自由席特急料金1,150円)

●金沢駅前−砺波駅前(加越能バス)

 ときどき、金沢市内を、見慣れないバスが走っているのを、仕事中見かける。気になっていたが、加越能バスであることが分かった。富山県からわざわざ乗り入れているのである。ただ、金沢市内で「加越能バス」のバス停を見かけたことがないし、金沢駅前へ行ってもそれらしいのりばがない。しかし「砺波市役所前」行きの加越能バスが、金沢市内を走っているのである。どこか、私の知らないところから発車して、金沢市内はノンストップで走るのだろうか。

 と、ちょっと時間があったときに金沢駅前のバスのりばをウロウロしてみた。そうして、JRバスの時刻表を見ると、JRバス福光行きの中に、「加」という文字が入ったものが2つ、あったのである。注釈を見ると「加越能鉄道で運行。砺波市役所前行き」となっている。つまり、およそ1時間半に1本走っている、金沢駅前発福光(富山県の、城端線沿線)行きバスの中に、例外として2本だけ、加越能鉄道で運行するバスがあるのである。そしてそれは福光を越えて、砺波まで行ってしまうというものであった。

 金沢−福光間なら、JR列車で高岡経由、城端線乗り換えよりも、早く、安く行くことができるのだが、金沢−砺波間に関しては、運賃だけで考えるとJR列車の方が安い。現実的なのかどうか知らないし、何かの「乗入相殺」的な意味合いがあるのか、かつて電車の線路を金沢まで延ばそうとした「加越能鉄道」の夢を忘れないために、あえて乗り入れているのか、意味不明なのだが、とりあえず乗ってみることにした。

 ほんとうはJRバス福光行きとしては1本前の10時発、福光駅行きに乗ろうと思ったのだが、その後の接続を考えると、大差がないため、11時15分発の加越能バスに乗ったのである。

 いつも列車に乗るようにして金沢駅へ。何となく雲が多い。そうして、JR列車の改札へは行かず、そのまま高架下を抜け、駅前へ。そうして、バスのりば。JRバスののりば「4番のりば」へ行く。そういえば金沢へ来て、JRバスに乗ったことがない。いつも北鉄バスである。

 ちょっと早めに来たので、時間がある。その間にも北鉄バスがどんどん来て、乗客を乗せ発車していく。JRバスは来ないし、加越能鉄道バスはほんとうに来ない。そうしているうちに、JRバスが来る。11時10分発の「橋場町 鳴和方面」森本駅前行き。同じのりばに待っていた人は私を除いて、そのバスに乗っていってしまった。5分後に来るバスの、区間運転みたいなバスである。

 そうしてしばらく待っていると、明らかにこののりばでは浮いた存在である加越能バスが入ってきた。1日2往復しか、ここで見ることのできないバス。今日の始発であり、その後は16時25分である。

 とりあえず乗る。整理券を取ると、「リン」とベルの音が鳴る。金沢ではこういう音はしない。そういえば、加越能鉄道の電車(今は第三セクター)でも、こういう音がしていた。乗ったときから雨が降り出す。この雨が、帰りに大きな影響を及ぼすとは、その時は知らなかった。

 婦人1人と私。そして、中年の男性が一人。この人は、金沢の観光で、運転手さんに○○へ行きますか?と聞いていたが、「富山のバスやし、分からん」と言われていた。富山弁で話す運転手。金沢駅前にいながら、何となく違うところにいるような気がする。

 金沢駅前を出て、一旦、武蔵ヶ辻の方へ行く。金沢の次は「本町」。北鉄バスの「本町」は違うところで、北鉄バスなら「リファーレ前」というバス停になるのだが、JRバスは「本町」というバス停である。加越能鉄道バスは、ここから福光まで、JRバスのバス停に従って走っていくため、JRバスのバス停名称を使用していくことになる。

 武蔵ヶ辻から結構乗ってくる。ただし、ほとんどは森本までのバスで事足りる人々のようである。こうやって、JRバスの顔をして走っているのだが、車内の案内「JRバスの定期券・回数券は使用できません」とのこと。

 しばらく、国道159号線を走る。町の中心部ではないが、割と店などが並んでいるところ。途中からは仕事中、よく車で運転するところである。それにしても、何となく混んでいる。ここは、時間帯によってはものすごく混むところなのだが、この時間にしては混んでいる。そういうこともあり、森本駅前到着は11時33分のところ、46分に着いている。ここまでの所要時間、33分。JRの普通列車では6分で着くところである。

 工事中の森本駅を見て、ここから山の方へ入っていく。このまま津幡→倶利伽羅→石動、という、北陸本線のルートではなく、山を越えて直接福光町へ行ってしまうのである。事実、金沢→高岡→福光、という鉄道のルートだと遠く感じるのだが、金沢市と福光町は接していたのである。

 少し、別の道を経由して、国道304号線へ。ここも、何回か仕事で通ったことがある。住宅地を抜け、両側に山が近い水田の中を通る。両側にある程度の住宅地がある。そうして北陸自動車道をくぐる。仕事で来たことがあるのはこのあたりまで。ここからは今まで知らなかった道、ということになる。同時に、山になってきた。水田も少なくなってきて、山道らしくなる。乗客もほんとうに少なくなってくる。1日2本、しかも乗客の少ない時間帯にわざわざ金沢まで乗り入れてくるメリットが、加越能鉄道にあるのだろうか。

 そうして、山の中を走りながら、「これから停まります停留所は…」と、テープの放送なのだが、なぜかこれからのバス停を言い始めた。それが福光駅までの分である。

 山が深くなっていく。ただし、ときどき集落がある。途中、ちょっと大きな交差点があった。帰ってきてから確かめると、国道359号線との交差点。実は、こっちをまがったら、直接砺波市へ行けるのである。このバスは「砺波市役所行き」といっておきながら、実質は金沢−福光間のバスであるため、わざわざ遠回りするのであった。

 そうして、集落と山。結構いい道なのかと思っていたが、本格的な山道である。登坂車線まである。そうして、長い木数本に道路が囲まれているところがあった。トンネルではなかったが「富山県 福光町」の看板。ここから富山県である。ということはこれまでの山の中は石川県金沢市なのであった。意外と金沢市、山深いところがある。

 一般論として、石川県と富山県にまたがっている道路は、石川県から富山県に入った瞬間、きれいな道になっている、といわれている。例えば国道8号線も、バイパスとしてきれいになっているのだが、富山県に入った瞬間、トンネルに飾りが付いたりするし、羽咋市から氷見市へ抜ける道路も、富山県に入ったらきれいになるらしい。しかし、この304号線はそういうことはなく、むしろ富山県に入ったときから、カーブが若干増えたような気もする。ときどき集落もあり、道路近くまで住宅があること、それで拡張するほど交通量も多くないことが、こういう状態である原因だと思う。

 そうして、山道を下っていき、川合田温泉。富山県に入って、一つ目の信号のような気がするが、見落としているかも知れない。そこから、数分で華山温泉。森本駅に広告が出ていた。その華山温泉から、平野部になる。山を越えて、砺波平野に出てきた。砺波平野らしく、ちゃんと散居村になっている。そうして、しばらく走り、福光の市街へ。その中のバス停で、金沢駅前から乗っていた、婦人が降りていった。これで、金沢駅前から乗っていた乗客は私だけとなった。そして、前方に福光駅が見えてきて、到着。JRバスののりばとは少し離れた、加越能鉄道のバスのりばに到着した。ここから、JRバスのバス停を間借りするのではなく、自社のバス停に停まっていくこととなる。本来の加越能鉄道バスになったのであった。その瞬間、私以外の乗客は降りていく。他に乗客が乗ることなく、私だけになって、発車した。

 あまり広くない、水田と住宅・店に沿った道を走っていく。岐阜県の白川村方面から続いている国道156号線は、ここを通らず、井波町の方から砺波へ抜ける。それと、東海北陸自動車道の影響もあり、このあたり、道は広くないし、交通量もさほど多くない。そういうところをゆっくりと走っていく。石川県の感覚ならもうちょっとスピードを出すのだが、石川県とスピード違反取り締まり基準が違うと言われている富山県。全体的にゆっくりと走るらしい。

 城端線に沿って走る。ときどき、城端線の線路が見える。列車本数が少ないので、列車を見ることはなかったが、城端線が廃止、ということになると、「廃線跡の見えるバス路線」となるのであろう。そうして、東石黒駅が見え、ホームには駅名標まで見える。駅名と同じ「東石黒」のバス停もある。東海北陸自動車道がオーバークロスして、福野町へ。福野の市街地では、少し線路と離れる。そのため、福野駅前は経由しない。福野から、おばあさんが一人乗ってくる。運転手と顔なじみらしく、一番前の席へ行き、運転手と話をはじめる。両方が富山弁。福井弁ほど石川弁と離れていないが、少し石川弁とも違う。こういうところへ、金沢駅から乗換なしで来てしまうのであった。結局、このおばあさんは高儀で降りる。同名の駅がJR城端線にある。

 そうして、駅名と同じ「東野尻」を過ぎ、砺波の市街地に入っていく。市街地のいくつかのバス停を通り、「本町」の次が、砺波駅前。そういえば、金沢駅前の次も「本町」であった。このバス、2つの「本町」に停まるのである。そうして、高儀から、唯一の乗客になっていた私は、砺波駅前で降りる。この後、砺波市役所前まで「空気輸送」になるようである。

 砺波駅に着く。雨が降っている。少し濡れながら、駅舎へ。橋上駅。北陸に3つしかない橋上駅。去年も来ているので、さっと見るだけにする。今から乗ろうとするバスが発車して、しばらくしてから高岡行きの列車が来るのだが、当然のことながら、バスより先に、安く高岡駅に行くことができるようであった。そうして、バス停へ戻る。

●砺波駅前−高岡駅前(加越能バス)

 砺波市営バスが通過していき、しばらくして高岡駅前、ではなく、高岡市民病院・職業安定所行きのバスが入ってくる。ちなみに、このバスはここ始発ではなく、砺波総合病院発であった。

 砺波駅前を出て、市街地を走る。ここは、1年ちょっと前に、砺波駅から次の油田駅まで歩いたときに通ったところで、何となく分かる。いくつかのバス停を通り、砺波市役所前。市役所前、というよりは、バスの車庫があるところであった。そうして、国道156号線へ。4車線の広い道を、ゆっくりと走る。水田が多いが、店もある。それと、散居村が並んでいる砺波平野。ときどき民家もあるのだが、国道へ向かって立派な門構えの家が点在する。

 しばらく、国道を走るが、途中で右折する。そうして、市街地を走る。一応高岡市なのだが、高岡の市街地ではなく、戸出(といで)地区。城端線にも駅があるが、高岡の中でも、少し独立した地区である。戸出の町の中を通り、国道156号線へ。国道へ復帰するのかと思ったら、その対岸にある町へ。これがこのバスの「戸出団地経由」の意味らしい。そうして、新興住宅地を通り、田んぼの中の道で一時停止して、しばらく進んでいき、ようやく国道156号線へ復帰した。直線で走ると結構近いところなのだろう。

 そして、国道をしばらく走ると、高岡の市街地になってきて、4車線から2車線へ。すこし、混み始める。そうして、北陸本線の下をくぐり、中心部に入っていく。アーケードの商店街になってきて、万葉線の路面電車が並行する。前方に高岡駅が見えてきて、到着した。ようやく高岡駅である。若干時間があるので、駅舎の中でうどんを食べたのであった。ホームをちらっと見ると、黒部行きの普通列車を待っている乗客が多くいた。富山へはあちらの方が早く着くのである。

●高岡駅前−富山駅前(富山地鉄バス)

 高岡は加越能鉄道バスが多く走っているところ。そういうことで、駅前には加越能鉄道のバスが、沢山停まっているのだが、その中で、1台だけ違う色のバスがあった。富山地方鉄道バス。どうも今日は、金沢駅といい高岡駅といい、異端のバスに乗ることが多い。とりあえず、「1番のりば」に到着したバスに乗る。構内放送は他のバスと同じように、加越能鉄道の職員が「小杉方面富山駅行き」と言っていた。

 高岡駅前を出て、少し細かい道を通り、駅前の通りへ。そうして、しばらくは万葉線の路面電車に沿って走る。電車からバスを見ることは何回かあったが、今日は逆である。バスから見ると、電車のりば、これで大丈夫なのだろうかと思われるところが数カ所ある。ときどき、「片原町」など、電車と同じバス亭がある。そして、しばらく走り、路面電車の道から外れる。しばらく行くと、どこかで見た景色。越中中川駅の近くであった。「中川」というバス停で多く降りていく。そして、少し坂を上る。氷見線と立体交差していたのである。立体交差するときに、越中中川駅がきれいに見えた。

 そうして、2車線の道を走る。これは昔、国道8号線だった道で、今は普通の県道になっているが、その道に忠実に走っていく。何となく、景色が金沢市内の、東金沢駅付近から森本の159号線に似ている。両者の共通点は、旧国道8号線であるということであった。

 そうして、庄川を渡る。高岡大橋。右側には北陸本線。左側の下流には、見えないのだが、万葉線などもこの川を渡っている。昔、この川にかかる道路の橋を渡ったことがあった。

 北陸本線なら、高岡を出て庄川を渡ると、間もなく越中大門、なのだが、こちらはしばらく走ってから「大門口」。そうして、住宅や店などが割と多いところを走っていく。いくつかのバス停を過ぎ、「小島」があって「大島」。ただしどちらも射水郡大島町。大島町役場があった。越中大門駅は、大門町ではなく大島町にあるのだが、駅自体、大門町とも大島町ともつかないところにあるのだということにきづく。

 そうして、小杉高校前から少し高校生が乗ってきて、「小杉町」。そういう名前のバス停だが、ほんとうに小杉駅前だった。そうして、住宅地とも店ともつかない、割とにぎやかなところを通っていく。ちなみに、このあたりは妹が通学路として使っていたところである。

 バス停をいくつも通過していく。北陸本線でいうと小杉−呉羽間。水田の中を、長い駅間距離、結構飛ばすところなのだが、そこから少し離れて、結構にぎやかなところが続くのである。そういう意味で、全区間を乗り通すということではなく、区間利用としてこの高岡−富山間、30分に1本というバスは存在価値があるのだろう。

 そうして、北陸本線と立体交差。少し町になってきた。呉羽である。北陸本線の呉羽とは若干離れて走るが、どちらも呉羽の町の中。同時に、結構混んできた。富山市内に流れる車が集中して入ってきている。2車線では足りないような気もする。そうして、前方の山に近づく。「呉羽山公園」のバス停を過ぎると、呉羽山を越える。山越え、という大げさなものではなく、堀割で、直線の道が通じているのだが、富山県を東西に分けるこの山、低いながらも文化も別れてしまう山である。

 呉羽山を越えると、「富山大学前」。何となく見たことのある景色。受験に来て以来の富山大学。第一志望だったが、まあいい。ここから、富山地方鉄道の路面電車が並行する。このバス路線、二都市の路面電車と並行するのである。そうして、富山の中心部に入っていく。路面電車と別れ、富山城趾、市役所前などを通り、ようやく富山駅前に到着した。金沢から普通列車で、さっと来る富山駅と同じ駅であった。とりあえず、山菜うどんを食べる。

 できればここから、さらに東、滑川までバスで行こうとしたが、ちょうど出たあとだったため、今日はここまでにする。

●このあと…

 区間全駅の取材として、東富山・水橋と、一駅ずつ降りていったのだが、水橋駅で雨がさらに強くなった。そこで、晴れていたらさらに滑川・東滑川・魚津、と続けていくことができる時間帯であったが、ここで中断。とりあえず富山駅へ戻り、17時17分発、小松行きの普通列車に乗ったのであった。ただし、越後湯沢からの「特急はくたか」が遅れていたため、それに合わせて、17時35分頃発となった。

 6両で、最後尾。乗客も少なく、4人がけのボックス、1人で座っていったが、越中大門で、抑止。放送によると津幡−森本間大雨のため、線路冠水。運転を見合わせているとのこと。しばらく停車して、18時20分、越中大門発。若干徐行しながら、高岡へ。普通列車の乗客の多くは高岡で降りるため、この先の運転復旧はしていないのだが、待避線のある高岡駅まで列車を進めたらしい。隣には、富山駅で、数分前に発車した特急サンダーバードが停車していた。

 運転を見合わせているのは津幡−森本間だが、各駅で抑止、ということのため、高岡でストップ。特にすることもなく、かといって読み物も持ってきていないため、とりあえず手もとの時刻表で、盆休み中に行く旅の計画など立て始める。とりあえず、時刻表さえあれば時間は潰れるものである。この間、ホームの自動放送はストップし、ホームの取り付けられた、高岡銅器の風鈴の音が鳴り響く。

 そうして、ようやく、19時12分、隣のサンダーバードが発車した。その後、19時16分、こちらの普通列車も発車した。その後、所々で徐行を行い、金沢駅到着は20時6分。定刻は18時12分であった。隣にはまた「サンダーバード」が停車していた。

 ということで、帰りは、普通列車でさっと帰ってきた、というオチを用意していたのだが、こちらも時間がかかる、という結果だった。


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