JR各線を巡る旅の記録

21紀勢本線他 2日目


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 1998年8月15日
 【和歌山】発8:25−(普通)→【紀伊田辺】着10:14、発11:08−(普通)→【新宮】着13:47、発15:04−(普通)→【亀山】着20:09→【名古屋】
 (記述は亀山まで)
※普通列車で紀勢本線を通り抜けるとなるとかなり時間がかかる。昨日の地味さとはうって変わって、他では見られない景色を見ることができた。また、古座−紀伊田原間の景色が美しいところでJR乗りつぶし50%を達成することができた。

●紀勢本線(和歌山−亀山)

 和歌山発8:25の紀伊田辺行きの普通列車に乗るためにホームへ行く。この列車は天王寺発なので、昨日無理して和歌山まできて、無理をして宿探しをしなくてもよかったのかもしれない。天王寺やその近くで難波、あるいは20分早く出るとして梅田あたりならサウナやカプセルホテルがすぐに見つかったのである。

 到着した列車はクロスシートの「近郊型列車」である。片側に3つドアがある、よく見るタイプである。天王寺からの乗客が多く、クロスシートではなく、ロングシート(といっても2人掛けなので「ロング」ではない。進行方向に対して垂直になっている席ではなく並行になっている席のこと。)また、この後ろを「熊野古道ホリデー」号(快速扱いだと思う)が、走っており、そちらの方が紀伊田辺に早く着くということをアナウンスしているためそれならばと降りる人が多いため、それほど混んでいない。

 発車した列車は、昨日歩いた「国体道路」と、少し距離を置きながら走っていく。時々その道路が見える。宮前・紀三井寺・黒江と過ぎて、海南に着く。真新しい高架駅である。海南を過ぎ、しばらくすると海が見えてくる。高台を走っているためよく見える。広がっている海ではなくて狭い湾になっている海である。進行方向後ろ側に発電所が見えるが、前を見ると狭い海と、みかん畑である。

 地形がまっすぐでないため、線路もそれに合わせて方向を変えている。時々海が見え、山に入り、町がありということが繰り返される。

 藤波と御坊では有田鉄道が接続している。どちらかで家族連れがおり、隣に停まっている小さな列車に乗り換えていった。

 紀勢本線というと海沿いをずっと走っているというイメージがあったが、山の中を走っていることも多い。時々見える海が、いつも見ている日本海ではなくて太平洋であるということから新鮮な感じがする。やや高いところを走っていて、それがみかん畑で、その向こうに太平洋があるという状況も他ではそんなに見ることができない。

 紀伊田辺に10:14に到着した。これから11:08まで、50分強、時間がある。普通列車で乗り換えの人はそのままこの乗り換えになる。そんなに混んでいないので無理をして席を取る必要がないので、町を少し歩くことにする。

 駅前に商店街が広がっているというのはどこでも見られる。ただし、異常に梅干し屋さんが多い。紀州梅ということで多く売っているのである。もともと非常食であるから、非常食を名物にしているということになる。確かに紀州梅を普通に買って食べてもおいしいし、コンビニのおにぎりでもただの梅干しと「紀州梅」では、味が違う。(と思わされているのかもしれないが。)買って家へ送っておこうかと思ったが、どうも決め手に欠けたのでそのまま眺めて終わった。

 紀伊田辺から再び紀勢本線に乗る。JR乗りつぶしで分母の距離がまだ定まっていない。JTBの時刻表にJRの営業キロ数が書いてあり、一応それを参考にしている。これには新幹線が含まれているので、新幹線を除外すると、乗りつぶしの分母の距離になる。JR西日本と東日本以外は各線区の距離を拾ってみるとその距離になったのでそれを分母とするが、その2つについては線区数が多いので、まだ各線区の営業キロを合計していない。おそらく単純にその掲載されている合計営業キロから新幹線分を引けば間違いないと思われるので単純にそれを暫定の分母としている。

 なぜそのようなことを書いたかというと、この暫定分母で行くと、この紀伊田辺発の列車で終点新宮までの間に全JRの50%(新幹線を除く)を乗ったことになる計算なのである。どこかで計算ミスがあり、すでに達成しているかもしれないし、あるいはまだまだなのかもしれないが、とにかく今の計算ではそうなるのである。そこで、単純に昨日から乗った新規乗車区間を足していき、50%達成地点を決めてしまうことにした。そうすると、古座−紀伊田原間になることが分かった。かなりの確率で違っていると思うが、その区間を50%達成の地点とすることに決定した。違っていても、そうすることにする。

 さて、紀伊田辺を出た列車は時々海を見ながら山の中も走っていく。白浜などの観光地も過ぎていく。すさみをこえたあたりから海沿いを走る確率も高くなってくる。このあたりから今まではれていたのに曇ってきた。時々雨も降っている。空気も湿っぽくなっている。本州最南端へ近づくと、気象状態も違っているようである。

 並行する国道もそんなに広くない。高速道路もないので、車で和歌山市から来ると大変だと思う。見える海も先ほどの「紀伊水道」を眺めているのではなく、本当の太平洋を眺めている。クジラが見えることもあるらしいが、まあ見えないだろう。

 串本あたりが本州最南端のJR線ということになる。「本州最南端」といっても四国や九州にこれより南を走っている路線が多くあるのだから、そんなに取り上げられないが、まわりの景色から「本州最南端」にはふさわしいところのように思われる。

 そのあたりで、向こうに島のようなものが見える。陸続きなので島ではないが、そのように見える。本来、島で、海流の関係で砂がたまって陸続きになっている。いわゆる陸繋島というものだが、そのおかげで「本州最南端の地」潮岬はあの島の先端ということになっている。山を少しでも高くして石を積むということを自然がやってしまったような感じである。とにかく、潮岬がある島のようなところがきれいに眺めることができる。今度は宿泊するか特急で来るかして、潮岬に行かなくてはならない。

 少し北上して、古座につく。ここと、次の駅の紀伊田原の間を「JR乗りつぶし50%達成の地」と決定したので、そういうことを意識して乗ることにする。区間は決定したが、「達成の地」を決めなくてはならない。キロポストを参考にしながら厳密にしてもよいが、なにしろ区間の決め方が少々いい加減なので、そこまで厳密にしなくてもよい。だいたい古座−紀伊田原間の3分の2か4分の3あたりの紀伊田原寄りということにした。

 海がきれいに見えている。和歌山市のあたりと違ってみかん畑の上を走っているのではなくて低いところを走っている。すぐそこが海である。川沿いを走っているような感覚である。

 そして、海が広がって、手前にはクジラ雲のような岩場が広がっているところがあった。ここを「JR乗りつぶし50%達成の地」と「決定」する事にした。ふさわしいところである。多少違っていることが後で分かったとしても変更しないことにする。景色としても場所としても申し分のないところである。

 50%達成に8年もかかっている。しかも、その50%は、近場が多く含まれているので、残りは遠くに多い。日本最北端の駅、最東端の駅、最南端の駅などもまだ通っていない。(ただし、この文章はこの旅から1年後に書いているが、その時点で最北端と最東端は行ってしまっている。)残り50%にどのような路線が待ち受けているのか楽しみである。

 とにかく50%を達成したことに決定して少し山を登り紀伊田原に着く。海から離れて山を登り駅に着くというパターンは長崎本線の諫早−長崎間の旧線区間で見たような気がするがその感覚とよく似ていた。

 紀伊田原から先は時々海を見ながら山を走るというパターンだった。そして紀伊勝浦に着く。大阪方面から来た特急は新宮まで行くし、反対の名古屋方面から来た特急は紀伊勝浦まで来るので、この紀伊勝浦−新宮間は両方の特急が乗り入れる区間となっている。いままで、スーパー雷鳥の色を変えたような「スーパーくろしお」や、サンダーバードの色を変えたような「オーシャンアロー」といった特急が追い越していき、親近感があったが、ここでJR東海のワイドビューの特急を見ることになる。このワイドビューの特急は名古屋から高山を経て富山まで来て(特急ひだ)臨時列車として金沢まで乗り入れることがあるが、ほとんど見ることがないのでよそへ来た気分になる。

 特急が多く走る区間を経て、新宮に着く。新宮着13時47分で、発が15時4分である。1時間以上ある。駅前を歩きたいが、天気が良くない。小雨が降っている。そのため蒸し暑い。足も、昨日の和歌山市内宿探しのおかげで水ぶくれができて痛くて歩けない。荷物もそこそこある。そのため、散歩はあきらめ、駅前の案内を見たり、駅の2階にある、地元の写真を見ながら時間をつぶす。天気が良くて、足も大丈夫なら熊野川に架かる橋を渡って、和歌山県と三重県の県境を歩くことができるのだが(県境未定地域でしたっけ?)それはあきらめることにする。次の駅鵜殿まで歩くと、県境を歩いたことになるが、紀勢本線の中で空白ができてしまう。

 早めにホームへ行く。列車はまだ来ていない。ホームは少し混んでいる。

 しばらくして入ってきた列車は、国鉄時代の塗色の気動車であった。キハ28や58のあの列車である。今のように金沢市に住んでいるのではなく、珠洲市にすんでいたとき、能登線を走るこのような列車によく乗った。最近はあまり見かけなかったが、新型気動車全盛のJR東海で乗ることができるとは思わなかった。てっきり、JR東海的な小型の気動車になると思っていた。しかも、中にはロングシートの部分がなく、純粋な「急行型」である。ロングシートがないので、それぞれのクロスシートに1人ずつ埋まってしまったときは即、どこかのクロスシートから相席になるのだが、それは良いことにしよう。

 新宮発15時4分で、終点の亀山20時9分着である。5時間もかかる。三重県を縦断するのだが、この列車で完全に三重県を縦断するのではない。そう考えると三重県は縦に長い県だと思う。石川県もかなり長いが、普通列車で縦断してももう少し短い時間で縦断できる。

 新宮を出て幅の広い熊野川を渡る。県境が未定らしいが、とりあえずこの橋から向こうを三重県とすることにする。これで和歌山県のJR線は完乗できた。12県目である。

 鵜殿を経て、しばらくは熊野灘に沿って穏やかに進む。紀勢本線の中でも穏やかな区間である。穏やかなところは熊野市までで、ここからは日本でも代表的なリアス式海岸となる。トンネルをくぐって、出てきたところが狭い湾の奥にある漁村で、そこに駅がある、そして、再び山へ入っていき、トンネルをくぐって---という景色が続く。海水浴場もあり、海水浴をしている人もいる。山と山との間に挟まれた漁村で、何となく暗い感じがする。4時頃になって昼間のような太陽が当たらないということと、紀伊半島の東側なので陰になって日があたりにくくなっているということもあるのでそう見えるのかもしれない。

 鉄道はトンネルをくぐって山を越えているが、並行する道路の方はもっと小さい漁村も訪ねているようである。同じ紀伊半島であるが、西側の和歌山県の方と、東側の三重県の方とでは、雰囲気が違う。鉄道もそれに合わせて、こちらは非電化である。

 尾鷲は訪ね歩く漁村の中では大きな町である。日本で一番降水量の多い市である。多少停車時間はあるが足も痛いのでそのまま列車の中で過ごす。

 尾鷲を出ると、また、同じようなパターンが続く。このようなパターンもあまり他では見ることができないと思う。

 紀伊長島に着く。よく考えると、旧国名「紀伊」というのは、和歌山市のあたりからここまで続いているのである。いまも鉄道でこの「紀伊の国」の行き来は大変だが、昔はもっと大変だったと思う。なお、「紀伊長島」の「紀伊」の付かない「長島」は、同じ三重県内の最も愛知県寄りにある。

 ここからは紀伊の国から伊勢の国に行くための山越えになる。もちろんリアス式海岸と漁村はそのまま海沿いに鳥羽まで続いているが、紀勢本線の方はそれにつきあわずに山越えルートとなる。

 今までのリアス式海岸を訪ねる山越えと違って今度は本格的な山越えである。列車も唸り声をあげている。このエンジンの音も最近は新型気動車の登場で聞くことが少なくなってきた。

 山越えで、国道に沿っているが、かなり高いところも走る。周りは木ばかりである。

 山を越えて、阿曽や三瀬谷等を過ぎて多気につく。ここから参宮線が分岐しているし、快速みえも走っている。名古屋の通勤圏である。また、外も暗くなってきている。ここからは参宮線に乗るときにくるはずなので無理して景色見ることもない。というより見えない。

 多気を過ぎて、名松線の分岐する松坂につく。この参宮線と名松線は乗ろうと思ってもなかなか乗れない路線になる。2つセットで乗ろうとするのがだめなのだろうが、それぞれ単独で乗りにくる気にもならない。紀勢本線のついでに乗れば良かったのだが、紀勢本線を普通列車で乗り通すとそんな時間はない。

 松坂からしばらくして津に付く。伊勢鉄道経由の快速みえの方が明らかに名古屋に早く着くし、津にも早く付くので、松坂でほとんど乗客がいなくなってしまった。長時間走った行く末が快速列車に客を取られて終わりという有様である。津駅も近鉄に多く客を取られているので県庁所在地駅にしては大きくない。(ホームから見た限りでは)奈良駅とよく似た感じである。

 津から、短絡線の伊勢鉄道を通らずにあくまで紀勢本線の終点亀山を目指す。山の中を通っているのか田圃の中を通っているのかよく分からない。このあたりは参宮線・名松線に乗りに来たときにゆっくり見ることにしよう。

 どうも5分程度遅れているようである。5時間走って5分程度の遅れとは優秀な方だと思うが、友人と亀山駅で待ち合わせをしているので、そんなに遅れるわけには行かない。 どうにか、亀山発20時14分発の列車には間に合い、友人にも会うことができた。亀山から、名古屋に向かったが、この関西本線は乗りつぶしシリーズ第1回(8年前)に乗っているし、暗くてよく分からなかったし、話し込んでいて外も見ていなかったので記述を省略して、この話は亀山到着で終わりということにする。


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