JR各線を巡る旅の記録

38 北海道その(3) 1日目 詳細版



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0日目・1日目(2002年4月27日)
【金沢】21:35発−(寝台特急日本海1号)→【青森】8:24着、9:15発−(快速海峡3号)→【木古内】11:03着、11:33発−(普通)→【江差】12:39着、13:33発−(普通)→【函館】16:15着、17:16発−(特急スーパー北斗17号)→【苫小牧】19:34着、19:39発−(普通)→【糸井】19:46着

 自宅最寄り駅から乗車できる夜行列車というものは便利なもので、1日目の午前から、遠くにある路線の「乗りつぶし」ができてしまう。この日は北海道の入り口、江差線に乗ったあと、明日に備えて苫小牧まで。


●金沢−青森(北陸・信越・羽越・奥羽)

 とにかくバタバタしていた。長期休暇を控えて、やっておくこと、月末が早くなってしまうことで、〆日というものが早くなっていた。そういうことで1週間バタバタしたまま。せめて旅に出る当日は、ちょっと落ち着きたい。その願い空しく、バタバタした週の中でも最もバタバタした週になっていた。

 とにかく、仕事を切り上げて家へ。前日のうちに持っていくものはそろえてあったのだが、それをカバンに詰めて、夕食を食べ、風呂に入る。それだけでもう時間が来ていた。とにかく慌ただしい。そして、家を出て、一旦会社に寄り、サーバーの電源を停めて、駅へ向かったのだった。落ち着いて座ることができたのは、寝台列車の寝台であった。

 下段であったのが幸いして、すぐに落ち着くことができた。去年の夏、この日本海1号で秋田へ行っている。そういうことで特にとまどうこともなく、寝台列車で落ち着く。

 しばらくはどこを走っているのか、夜景を見るだけで分かる。揺れ具合や微妙な傾きでも、何となく分かる。いつもは座席で乗っているこの区間。たまに寝台で乗ると、別の面から見ることができる。金沢を出てからの車内放送を最後に、翌朝、大鰐温泉まで車内放送を行わないとのこと。一晩で走る距離も相当なものであるし、金沢では車内放送が聴けるのに、高岡ではすでに聞くことができないということで微妙な距離の違いを感じる。

 そうして、バタバタして、疲れていたのだが、すぐに眠りに入るということもなく、列車は進んでいく。魚津停車後、ちょっと眠りかけたのだが、すぐ目を覚まし、ふと外を見ると泊と越中宮崎の間。越中宮崎を通過し、平坦なところを走り、橋を渡ると新潟県。次の県は山形県。それまでかなりの距離がある。

 しばらくして外を見ると親不知・子不知。糸魚川に停車し、またしばらく静かに走っていく。そうして直江津に停車。いよいよJR西日本からJR東日本になる。駅名標を見て、何となく遠くへ来た感じがする。

 その後は結構眠ったのだが、やっぱり新津で目を覚ます。次に目を覚ましたときは、羽越本線の海沿いを走っていた。そして酒田でも目を覚ます。その次はすでに明るくなっていて、羽後本荘。この前はこのあたりで起きて、秋田で降りたのだが、まだ眠ることが出きる。結局、完全に目を覚ましたときは岩木山がきれいに見えていた。一晩でこれだけ進むことができるのである。普通列車では1日でここまで来ることができない。便利な反面、少しとまどいも感じながら岩木山を眺める。ようやくバタバタした気分から、旅の気分へ移ってきた。

 青森へ到着するが、車内放送の乗換案内は「のりば」であった。JR西日本の範囲内にいるようであるが、もうすぐJR北海道の範囲なのである。もっとも、この後、JR北海道では「番線」よりも「のりば」の方が多く使われているようであったが…。それにしても、北海道へ行くのはこのゴールデンウィークであることが多い。そのため、金沢を出たときは葉桜、秋田・青森でちょうど見頃、津軽海峡を渡るとまだつぼみ、ということが多い。3年前きれいに咲いていた桜の木は、今日はすでに葉桜だった。今年の桜前線は早い。

 青森に到着し、切り離しのために長時間停車する。ほんとうはこの列車で津軽海峡を渡るつもりだったのだが、青森までの寝台券しか取ることができなかった。何しろここで4両になってしまうのである。

 結局、その後の予定を考えると同じなので、「快速海峡」で津軽海峡を渡ることにする。少し時間があるので、ホームでうどんを食べる。長岡駅で食べておいしかった「めかぶうどん」を食べる。やはりおいしい。どこででも食べることができないというのが惜しいところである。

 おそらく今回で最後になるであろう「快速海峡」に乗る。やはりドラえもんのシールが多い。

●青森−木古内(津軽線・海峡線)

 青森を出るときには、隣の線路に、切り離された寝台特急「日本海」が停められていた。さっきまで乗っていた車両が分かるのが面白い。反対側を見ると、盛岡へ向かう特急「はつかり」と同時に出発している。

 市街地を走る。桜が見えるが、既に葉桜であった。数年前に訪れたときは同じ桜の木が満開だった記憶がある。今年は桜の開花が早いようである。住宅地になる。トタン屋根。やはり、北陸とは違う。そうして、車両区を左に見ながら、津軽線的な風景になってくる。小さい川を渡り、水田と住宅。左側には離れて山がある。信号所で貨物列車とすれ違う。住宅地になり、油川を通過。水田と住宅で、左に離れて山がある。少し住宅があり、津軽宮田を通過。住宅が増える。左側はずっと同じ風景が続くが、左側にも住宅・林があり、奥内に停車。ただし、この車両、ホームにかかっていない。

 奥内を出て、左側は水田が広がる。右側は水田と住宅。その向こうには海が見える。左堰を通過。同じような景色が続き、後潟を通過。同じような景色であるが、少し右側にカーブしていく。そうして、中沢を通過。少し住宅が増え、蓬田を通過。右側は海が広がるが、すぐに海との間に住宅が増える。郷沢を通過し、左側は少し山が近づく。右側は時々海が見える。瀬辺地を通過。少し山に入る。抜け、左側は山が近い。右側は少し住宅を挟んで海。住宅がなくなり、右を挟んで海が広がる。対岸には下北半島が見える。水産工場が見え、そして住宅が増えて、蟹田に到着。

 蟹田を出ると、山と山の間に水田。少し住宅地があるが、そこを抜ける。中小国を通過し、線路が別れる。カーブして高架になり、山の中へ。トンネルを抜け、山の中へ。再び長いトンネルを通り、抜け、津軽今別を通過。津軽線をアンダークロスし、別れていく。トンネルを2つ抜け、山と水田と少しの住宅がある。少し海が見えるところもある。トンネルを抜け、山。水田があり、少し海が見える。トンネルを3つ抜け、最後に隙間から少し海を見て、青函トンネルに入る。

 途中、吉岡海底駅も停車するので、今度こそは寝ずに北海道へ渡るかと思ったが、やっぱりこのトンネル、どうしても途中で眠ってしまう。「世紀の大工事」に携わった方々、犠牲になった方々には大変申し訳ないのだが、どうしても眠ってしまう。このトンネルには「睡魔」が住んでいるに違いない。

 といいつつも、トンネルを抜ける前には目を覚まし、トンネルを抜ける瞬間だけはいつも見ることができる。山を抜け、牧場が見える。この牧場、北海道へ渡るたびに見ているような気がする。木材加工工場もあり、住宅があり、知内を通過。トンネルへ。抜け、やっぱり山が多いが、その隙間で草原が広がっているというのが北海道らしい。そうして海沿いに町になり、木古内に到着する。

●木古内−江差−函館(江差線・函館本線)

 木古内で30分ほど時間があるが、ちょっと中途半端。橋上駅をウロウロと見て歩くだけの時間の過ごし方となる。駅のポスターが、やはりJR北海道のものなので、しばらく眺める。そうして早めにホームへ。発車する少し前に列車が来る。2両で来たが、1両になってしまう。最初から乗っていた人も多く、ロングシートの部分に腰掛ける。

 木古内を出て、市街地を通り、川を渡り、海峡線が別れ、昔の松前線跡が別れる。水田と若干の住宅地であるが、住宅はトタン屋根である。少し住宅があり、渡島鶴岡。駅前の桜がきれいであった。左側は山で、右側は水田。水田が少し狭くなってきている。住宅が少しあり、吉堀。右側は山が近づく。川と林、水田のある広い谷である。川を渡り、右側が山にくっつくが、その後山から離れる。谷の中を左右に移動する。そのうち、水田の少ない林中心の谷になり、山の中へ。川と道だけの谷をかなり走り、トンネルへ。抜け、山の中。まだ木には葉がない。木の下には笹がある。下っていき、少し谷が広がる。木と笹の原である。少し住宅があり、神明。水田が混じり材木工場もある。広がってきて、住宅も増え、湯ノ岱。喫茶店風の駅舎である。林と川の谷を走る。林の中を川が流れていて、北海道的な風景である。川の対岸に集落があり、宮越。川幅が広がる。水田が増える。谷から、山と山の間に水田がある、という風景に変わる。そして桂岡。水田が広がり、中須田。同じような風景だが、住宅が増え、上ノ国。水田と住宅を抜け、左に海が広がる。しばらく続き、住宅が増えてきて、江差に到着する。

 ここで1時間ほど時間がある。一層のこと、八雲までバスで行ってもいいのだが、とりあえず乗ってきた列車で引き返すことにする。1時間ほど、天気もいいのでウロウロすることにする。

 江差の町の中にこの駅があるのではなく、ちょっと離れている。しばらく歩くと、町に向かって下り坂がある。それに沿って降りていき、町に出る。ちょっと海沿いに出て、少し海を見た後、微妙に道を変えて戻る。「檜山支庁」という看板があるが、少し立派な建物があった。「支庁」所在地も、必ずしも市にあるのではなく、こうやって「町」にあることも多い。そうして、さっき降りた坂を上るが、小学生が息を切らしながら、自転車で登っていく。

 そうして、駅前へ戻る。駅前にコンビニがあったので、適当なものを買う。おにぎり、冷やし中華など。ここで売っているそういう食べ物は、このあたりの社会福祉法人の「授産施設」が作ったものらしい。

 そして、同じ列車で戻る。木古内からこの列車、前に1両連結され2両となる。同じ江差線だが、ここからは特急列車が多く走る線区。路盤も若干良いのだろう。スピードも上がる。木古内を出て、住宅地で、その向こうには海が見える。右側は住宅と畑、そして海で、左側は少し水田があり、その向こうは山である。札苅を過ぎ、同じような風景。住宅がなくなってきて、海と道になる。そうして漁港と住宅があり、泉沢。住宅地を抜け、海。左側はすぐ山がある。海の向こうには津軽半島らしきものが見える。住宅があり、釜谷。同じような景色だが、さっきよりも少し高いところから見下ろす。左側の山は草原もあり、北海道的な風景である。住宅や商店などがあり、渡島当別。トンネルを抜け、住宅と海。結構高いところから海と道を見て、少し山へ。抜け、海を見下ろす。前方に函館の町が見えてくる。住宅地の中に入っていき、茂辺地。そのまま山へ。トンネルを抜け、海を見下ろし降りていく。少し山にはいるが、抜け、海へ。前方に町が見える。工場などを見下ろし、団地も見えてくる。新興住宅地になり、セメント工場もある。住宅が増え、一度信号待ちで止るがすぐに発車し、しばらくして上磯に到着。ここで1両増結し、3両になる。発車したときの3倍の長さになっている。橋上駅であり、跨線橋の入口にはドアがある。

 上磯を出て住宅地がそのまま続き、駅間距離が短いところを、清川口・久根別と続いていく。そうして団地の前に東久根別。そのあとは工場が続くが、住宅地になり、七重浜。住宅地の中を走り、左側から函館本線が近づいてくる。そうして五稜郭。住宅と工場があり、市街地を走る。線路用地は広い。そうして、函館に到着する。

●函館−苫小牧−糸井(函館本線)

 この駅、ホームはそのままなのだが、ホームから駅舎までの通路がきれいになっていた。とりあえず、建て替えられる途中らしい。おそらく、快速「海峡」と並んで、今回が最後であろう。

 函館でも1時間ぐらいある。前回はここでもうちょっと時間があったので、函館山に行っているのだが、今回はそれほどの時間もない。とりあえず、駅前を少しウロウロする。ウロウロしているうちに、ほとんど店がしまっている「朝市」にたどり着くのだが、わずか開いている店の人から声をかけられる。

 駅へ戻る。この駅、前回は駅員が「オレンジカード」を熱心に売っていたのが印象に残っているが、今回は、駅員ではないのだが、弁当屋さんが駅弁を一生懸命売っている。特にこの後、何か食べに行くという打算もないので、いくら丼を買って、車内で食べることにする。これがよかったのであって、実はこの後の列車、指定席に団体が乗り込んでいたらしく、自由席に「ワゴンサービス」が到着する前に、弁当が売り切れていたのだった。

 そうして、ちょっと早めにホームへ。「周遊きっぷ・ゾーン券」は、自動改札を通ることができるのがうれしい。この駅のように、頭端式のホーム、階段を上り下りしなくてありがたいのだが、車両の位置によってはかなりあるかなければならない。自由席ということで、わざと遠くしてるのか、結構歩かなければならなかった。

 そうして、しばらく待っていると列車が入ってくる。ほんとうに、気動車とは思えない外観。ある意味「北海道へ来たな」と思うような列車である。

 市街地を走る。車内自動放送が始まり、英語の放送。そして車掌さんの肉声の放送になり、「ワゴンサービス」のご案内。これが終わったときには、当然、五稜郭を過ぎて桔梗駅も通過していた。景色も、ビニールハウスが張られた畑の中になっていた。

 そうして、必要以上に傾きながら、高速で山に入っていく。トンネルをいくつか抜けると、湖が広がっていた。そうして駒ヶ岳が見える。ほんとうに、函館からしばらくして、こういう景色が広がっているのである。何度通っても別世界という感じがする。そういうところを通り、森駅を通過して、海沿いになる。

 ほんとうに、カーブでもスピードを落とさないこの列車、反対側の窓を見ていたら、窓全体が海になったりもする。八雲を通過して、長万部をスピードを落として通過する。このあたりで暗くなって、景色が分からなくなる。暗くなってもスピードを落とすことなく、妙な揺れを感じつつ、東室蘭、そして苫小牧に到着する。

 苫小牧から少し戻ることになる。今度は普通列車。何となく、こっちの方が落ち着く。2駅目の糸井で降りる。通学客などで結構賑わっているような駅なのだが、駅前が舗装されていないというのが北海道らしい。駅前のまっすぐな道を歩き、国道に出る。そして、その国道をまっすぐ歩く。25分ぐらいで健康ランドに到着。思ったところよりちょっと遠くにあったのだが、今日の宿も無事確保することができた。



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