2日目(2002年4月28日)
【糸井】7:34発−(普通)→【苫小牧】7:42着、8:01発−(普通)→【様似】11:24着、12:10発−(普通)→【苫小牧】15:23着、15:53発−(普通)→【北広島】16:37頃着、16:39発−(快速エアポート163号)→【札幌】16:55着
単純に日高本線の往復。海あり馬ありの感動的な景色であった。
こういう旅で健康ランドなどに泊まったときは、極力朝も風呂にはいるのだが、今日も例外ではない。早めに起きて風呂に入る。そうして、列車の時刻から逆算して、少し早めに「宿」を出る。
昨日とは違って、明るいところを歩く。こういう、駅から少し離れた健康ランドに泊まるとき、行きと帰りでは全く距離感が違う。行きは暗い上に、ちゃんと目的の施設があるのか、どれくらい歩けばよいのか、不安の上で歩いている。しかし、帰りになると明るい上に、距離を知っている。感覚上はほんとうに近く感じる。コンビニの場所を覚えていたので、朝食を買っておく。「おにぎり温めますか」という言葉に、北の方へ来たのだなという感覚を新たにする。
携帯電話で、Webサイトの掲示板に書き込みをしながら歩いていて、そのうえコンビニまで寄っていたので、ちょっと時間が足りなくなりそうだったが、列車には間に合う。3両の新しい気動車に乗って、苫小牧駅へ向かう。
苫小牧では少し時間があるが、日高本線を往復して、戻ってきてからの方が時間があるため、とりあえず改札から出ずに、日高本線の列車が来るホームへ行く。列車はまだ来ていなかった。しばらく待っていると、2両で列車が入ってくる。しかし、切り離されて1両になってしまう。
早めにホームにいたため、進行方向窓側に座ることができた。しかも、海側である。しばらくして、中年女性2人組が同じボックスに座ってくる。その後は、席に座ることができずに立っている人も多くいながら、列車は発車する。
苫小牧駅を出て、しばらく室蘭本線と並行する。そのうち貨物駅の構内を走るが、室蘭本線と別れる気配はない。かなり走って、ようやく別れる。そうして、草地とも林ともつかない、不思議な空間を走る。そのうち製紙工場になる。よく分からない景色だが、結構印象的である。そうして勇払。その後は、草地・沼・短い木が混じったところを挟んで海が見えるというところを走る。時々、工場も混じる。浜厚真の少し前で、海の方に空港か港か、そういうものが見えた。苫小牧東港で、新潟や敦賀へ行く船が出ているようである。そうして、鵡川駅前後で住宅が増えたが、後は同じような景色が続いた。
汐見を過ぎて、富川の前で少し内陸に入る。そして、馬のいる牧場が見えてくる。その後は、馬のいる牧場と海がよく見える景色が続く。馬を挟んで海という景色もあり、この線独特の景色である。しばらくそのような景色を堪能する。国道に「競走馬運搬車」と書かれたトラックも走っている。
厚賀を過ぎて岩場の海岸を走る。海が広がっている。その中で、列車が停まる。反対側を見るとホームがある。大狩部駅。ホームの向こうにある、盛り土の国道をまたぐ歩行者用のトンネルがあり、その向こうの住宅が見えた。なかなか面白そうな駅である。この前後を歩くことを含めて、いつか訪れてみたい駅である。
節婦駅前後で住宅があったが、再び海岸へ。そして町になり新冠。結構降りる。同じボックスにいた中年女性も降りていった。その次の静内ではかなり降りていく。半分以上降りていった。10分以上停車するので一旦外に出てみる。新しい駅舎であった。そうして列車に戻ってくるが、さっきとは比べものにならない乗車率。これなら1両で十分である。
その後は海岸が混じるものの、内陸を通ることが多くなる。そうして、やはり馬が多い。内陸だけでなく、山に入ることも多くなる。浦河は日高支庁があるだけあって、ある程度の町であるが、江差同様、「支庁所在地」にもかかわらず、市ではなく、役所の建物だけが目立つ町だった。東町を出て、久しぶりに海沿いを走る。海の中にある岩には昆布が多く付いている。窓が閉まっているはずの列車の中にまでその匂いが入ってくる。
そうして、海沿いや内陸を走り、時々馬も眺めながら様似に到着する。
様似では中途半端に時間がある。戻りの列車を遅らせて、襟裳岬へ行くという手もあるが、ちょっと時間が足りなさそうである。ほんとうは襟裳岬から広尾を経て帯広に抜ける、ということも面白そうである。町を歩いていて、国道には「帯広○KM」という標識もあり、ほんとうに帯広につながっているということが分かる。
しかし、今回は襟裳岬へ行かないことにする。日程の問題である。とりあえず、今回は乗りつぶし優先。こうやって、日本のあちこちに、「今度是非足をのばしてみたいところ」ができてしまっている。そういうものを残して、後の楽しみにするのも「乗りつぶし」の醍醐味なのかも知れない。「食わず嫌い」ではなく「行かず嫌い」をなくすという意味で、「乗りつぶし」が私に与えた影響は大きいと思う。最近は、早く「乗りつぶし」を終わらせて、日本に点在する「もう一度行きたいところ」を回ってみたい、と思うようになった。
と考えながら、バスには乗らず様似の町をウロウロする。海岸に出てきてしまった。海が広がっている。左右には山があるが、木があまりない。北海道的な景色である。海岸を見ていると、波で海水が流れ着いて、波が引くと同時に湯気が上がる。海水と海岸の温度が違うということ。北海道へ来ると寒いと思っていたが、結構暖かい。
しばらく海を眺めてから駅へ戻る。少し時間があるので、駅をウロウロと眺めてから、同じ列車で苫小牧へ戻る。
苫小牧で少し時間があるので、駅を眺める。橋上駅。うどん・そば等の店もなく、手軽に食べることができるものもなく、自動販売機で焼きおにぎりを買う。結構、いろいろなところで見かけるこの自動販売機。冷凍食品を温めて出すものなのだが、待っている時間がまだるっこしい。
苫小牧からロングシートの列車に乗る。3年間、上幌向から札幌まで乗ったことがあるのだが、北海道でもデッキなし列車が走るようになったのである。
苫小牧を出て、さっき2回走ったところを走る。違うのは、走る線路が左にずれているということと、上に架線があるというところ。そうして、かなり走ってから日高本線と別れる。沼ノ端駅では、木が多いものの、住宅も多い。ここから室蘭本線と別れ、千歳線へ。こっちの方が「支線」として別れていくのだが、そのまま本線を走っているように感じる。そして、林・畑の中を走る。この列車とは似つかわしくない風景である。しかも、植苗・美々と、ほとんど住宅のないところに停車する。
飛行機が見えだして、石勝線が合流し南千歳。ようやくにぎやかになってきた。そうして高架を走ったりするが、町を抜けると林や牧草地などがあるというところが北海道的である。北広島で後から来る快速エアポートに乗り換え、若干早く札幌を目指すことにする。
町を抜け、錦鯉の養殖が行われている谷を抜け、札幌の町になってくる。そうして、高架の札幌駅に到着。この駅は金沢駅とほぼ同じ時期に高架になり、金沢駅と同じようにホームと線路全体を覆ってしまうという構造で、両駅は結構似ている部分がある。しかし、最近はその「似ている部分」が少なくなってきた。今回、ちょっと似ている部分を探そうとしたが、あまり目立たなくなってきている。こちらの駅の柱は、金沢駅と比べてかなり汚れているのが目立つ。気動車の本数の差であろう。向こうの駅は定期列車で気動車が来るということはなくなってしまった。そういうこともありこの駅の天井には煙突がいくつもあるというのが目立つ。
金沢駅と違って中2階がなく、一気に下まで降りる。エスカレータがあるので救われる部分もあるが、一気に階段・エスカレーターがあるので心理的にとても高低差があるように思われる。
しばらく改札の前で自動放送を聞く。そして、駅の裏にあるコンビニで地図を見て、明日の新十津川駅−滝川駅のルートを確認する。その後は地下鉄で、今日の宿がある「すすきの」へ。かなり地下鉄のホームは混んでいる。金沢駅でこの時間にこれだけ人がいる場所はない。すすきの駅へ着いても混んでいる。この駅に集合してどこかへ、という若者の集まりが多いらしく、団体名を書いた紙を掲げている人もいる。とりあえず地上へ。そして、吉野屋を見つけたので、夕食を食べておく。
そしてカプセルホテルを探すのだが、気が付くとビルの少ない場所になっていた。「西○南○」という交差点の数字を見ているのだが、なぜか数字の増え方がおかしい。町の地図を見て気づいたが、縦横、間違えていたのである。こういう、縦軸と横軸になっている町の構造、慣れると分かりやすいようであるが、ごちゃごちゃした構造の金沢に慣れた私としては分かりにくい。金沢のように1本間違えると全く違う方向へ行く、みたいな構造の方に慣れてしまっているのである。この逆で、縦軸・横軸の町に慣れている人が、金沢のようなところへ来ると、恐ろしいことになるらしいが…。
ようやく正しい道へ復帰して、カプセルホテルへ向かう。風俗店の客引きを恐れて、明るいうちにここへ来たつもりだったが、はやり客引きはいた。それよりも、カプセルホテルのまわりに、ピンク色やらおねえさんの写真が看板に出ているような店がおおすぎるのである。
カプセルホテルへ行き、風呂に入ると別世界。広くて、露天風呂もあり、落ち着くことができた。