1995年8月12日
【金沢】6:26発→【長浜】10:10着、10:21発→【草津】11:16着、11:22発→【柘植】12:04着、12:26発→【加茂】13:23着、13:25発→【奈良】13:38着、13:55発→【王寺】14:52着、15:21発→【和歌山】17:34着、17:53発→【和歌山市】17:59着、18:05発→【和歌山】18:11着、18:25発→【日根野】18:49着、18:52発→【関西空港】19:02着、19:10発→【天王寺】19:58着、20:21発→【奈良】20:54着、21:10発→【京都】22:09着、23:32発→(ふるさとライナー山陰)
※とにかく、奈良・大阪の未乗区間を完乗するということと、和歌山県に初めて足を踏み入れるというもの。
金沢駅6:26発の列車で長浜まで行く。福井で同行者が乗ってくることになっている。一時期よく利用したこの列車であるが、最近は「鉄道の旅」として利用することがなくなってきていた。「鉄道の旅」として限定したが、実は通学ということではしょっちゅう利用する列車なのである。1限目から授業があるときはこの列車で森田まで通っていた。通学でいつも利用していたが、鉄道の旅での利用は、通学で利用するようになって3年目にして初めてであった。そのため、いつもの通学のような気分で乗ってしまう。いつもは6両目の、ロングシートを越えて前から2つめのボックスの左右どちらか気の向いた方、と決めているが、そこに座ってしまった。しかし、いつもと客層は違う。
6両目に乗っているが、後ろ3両は福井で切り離されてしまう。それは十分承知していた。しかし、この列車の6両目というのは、他の車両とは全く別世界の空きようなのである。いつも利用していても、芦原温泉を過ぎて、丸岡までボックス席を1人で占領していることがある。最悪でも加賀温泉までは1人で占領できる。この列車が空いているのかといえば、3両目あたりは森田でぎゅうぎゅう詰めになっているのである。そのため、その空き具合・混み具合の違いを知っていたので、6両目に乗った次第であった。
いつも降りる駅森田を過ぎて、3両目まで移動する。夏休み期間で、盆の時期も少しかかっているためいつものような混み具合ではない。それでも座席はすべて埋まっていたので、6両目の空き具合のからすると、6両目に乗ったことは間違いではなかった。
福井から先は福井より前と比べると見慣れない景色であった。といっても、何度も乗っているので、特に変わったことはない。
長浜で乗り換える。これも慣れていることである。そして、草津で草津線に乗り換える。草津線は、これで2回目である。このあと、この文章を書いているときまではあと2回乗っているから、よく考えるとよく乗る路線である。しかし、この線の揺れ方は気になる。そうして、関西本線の柘植駅に到着する。ここまでは、乗りつぶし第1回と同じルートである。しかし、ここからはその時と逆に進む。それによって関西本線を完乗したことになるのである。柘植駅では、第1回目にできなかったことであるが、駅の前へ出てみる。道自体が細く、どこへ続いているのかよく分からない。なお、この4年半後に再びこの駅に降りて、健康ランドへ歩いていくことになるのだが、これは「26名松線・参宮線」をご参照いただきたい。
柘植でワンマンカーが入ってくる。この前この駅に来たときはこんな軽快な列車ではなく、重厚な気動車であった。列車が変わってしまったのである。とにかく、この駅に似つかわしくないというか、ローカル専用という意味では似つかわしい、バスのような扉のオールロングシート車に乗り込む。
新堂・佐那具と、谷を通り、市街地と少し離れて伊賀上野。名鉄線のホームも見える。ここから山の中に入っていき、島ヶ原。このあたりまで来ると、「関西本線」という名前が嘘のように感じてくる。大阪−名古屋間の最短ルートのはずであるが、この有様で、単なるローカル線である。時刻表の地図でも「幹線」を表す黒く印刷してある路線である。国が残すべきと判断した路線である。
月ヶ瀬口、大河原、笠置と木津川に沿って走る。キャンプ場があり、季節柄たくさんの人がいる。川沿いの渓流も見ることができてきれいなところである。
川から離れて平野部になったと思ったら加茂に到着。気動車はここで終わりで、電車に乗り換える。確か、新快速のような車両で「大和路快速」だったと思うが、どうも、その後にここへ来たときの分と混乱があり、そうだったかどうか怪しいが、大勢に影響がないからよいであろう。
加茂からはさっきの山越えと違い、水田のなかを走る。そして木津で奈良線・片町線と合流する。平城山駅を過ぎ、市街地になってきて奈良に到着する。奈良駅自体はJRよりも近鉄の方が強いため、ホーム数も少ない。改札口も多くない。青春18きっぷを見せなくてはならないが、間違えて金沢−福井間の定期券を見せてしまった。しかも期限切れである。それなのに、改札を通ることができてしまった。これもあとで気づいたのだが、そういうこともあるのである。
奈良から桜井線の列車で王寺まで向かう。高田−王寺間は和歌山線であるが、桜井線の列車も乗り入れている。奈良−王寺間はわざわざ桜井線を使わなくても、関西本線で4駅なのである。とりあえず乗りつぶしが目的であるからこういうルートをとっている。おそらく、こういう目的の人以外は今から乗る列車で王寺まで完乗してしまう人はいないはずである。
列車は全部ロングシートで古さを感じる。以前に京都から奈良線に乗ったときにこの列車であった。このときは桜井線、そしてこのあと乗る和歌山線で走っていた。この文章を書いているときの最新情報では紀勢本線の紀伊田辺−新宮間でよく走っているらしい。ロングシートは乗っていて疲れる。
この桜井線であるが、新規乗車のつもりで乗っている。しかし、厳密にいうと、小学校3年か4年の時、天理教(といっても、近くの天理教教会が、近くの小学生を募集して天理まで連れていっているもので、連れて行かれる側としては宗教的な意味よりも修学旅行的な意味が強い。)の関係で、団体臨時列車で天理までは行っているはずである。団体臨時列車とはいえ、珠洲駅あるいは蛸島駅(当時能登線・現のと鉄道)から桜井線天理駅までの直通である。
奈良から京終、帯解、櫟本と、普通では読めないような駅を過ぎ、高架になって天理に着く。高架で立派な駅だが、この車両ではもったいないような気がする。天理からいくつかの駅を経て桜井。近鉄の線路もある。それから進路を変えて香具山・畝傍と進む。どうも奈良県というところは他の県とは違った雰囲気のあるところである。この旅の数ヶ月前に、大学のゼミの日帰り旅行でこのあたりに来ていたが、その時も感じたのであるが、どうも奈良県というところは独特な雰囲気がある。盆地であるため、周囲が山に囲まれていること、しかし、その山はあまり高くないこと。そして、畝傍のあたりにある大和三山に代表されるように、盆地の中にある山も低いということ、これが独特な雰囲気を作り出していると思うのである。歴史好きな人は「太古の歴史的云々」と言うかもしれないが、歴史音痴の自分がこれだけの雰囲気を感じるのだから、そうとも言えないであろう。
畝傍は地図上近鉄の要衝、大和八木に近い。この数ヶ月前に来ているところである。それから高田で和歌山線と合流し、路線名も和歌山線となり、近鉄と交差し下田・志都美・畠田と過ぎて王寺に到着する。駅を降りてみるが、かなりの町である。この駅前のにぎやかさの多くは近鉄が作り出しているのだと思うが、ここはどうもJRが強いようである。データがないので断言できないが、そのような気がする。
王寺から今度は和歌山線で和歌山へ向かう。高田まではさっき通った区間と同じである。桜井線と同様、オールロングシートのワンマンカーであり、それ故あまり外の景色が見えず、よって4〜5年たった今ではほとんど景色を覚えていない。
五条を過ぎて、大和二見と隅田の間で奈良県から和歌山県となるが、特に山越えをするわけでもなく、あっさりと県を越えてしまった。というよりも、県境がいつだろうかと思っていたら、隅田に着いてしまい、和歌山県に入ったことに気が付いたのである。
その後は吉野川沿いに進む。地図を見ていると、割と田舎を走っているようであり、狭い谷を渓谷を見ながら走るような感じがする。しかしそうではなく、割と広い谷を走り、町が続いていた。沿線人口も多いようで、乗降客は少なからずいた。とりあえず、大きく印象に残ったものもなかったが、このように、沿線にずっと町が続いていたということが予想外であった。
和歌山から、一応紀勢本線の和歌山−和歌山市間の線に乗っておく。あとで紀勢本線に乗るときにこの区間に乗ることができなかったらここだけ空いてしまうからである。実際は紀勢本線に完乗する前日の23時台になぜか乗っているのだが、これについては「21紀勢本線他」をご覧いただきたい。
和歌山から市街地の外を走るようにして紀和を経て、和歌山市に到着する。南海との共用駅で、和歌山駅よりも近代的な感じがする。しかも、自動改札である。見慣れない南海の電車がいくつも停まっている。
戻りは同じ線路を戻る。
和歌山から阪和線の列車に乗る。これもまたオールロングシートである。今日はどうも横向きに進むことが多いようである。
和歌山を出ると、山越えをする。だいぶ外が暗くなってきたのでよく分からないが、きちんと見ればきれいなのかもしれない。この3年後に阪和線にもう一度乗ったのだが、その時も真っ暗であった。明るいときに乗らなくてはならない。
大阪府に入って、さらに進み、今回は日根野で降りる。関西空港線に乗るためであった。
この、「空港線」というものの扱いが乗りつぶし上よく分からなくなってくる。「○○線」という、本当に独立したものなのか、他の線の一部なのか分からないのである。国鉄時代からあったものならきっちりとしているのだが、JRになってからのものなので分かりにくいのである。成田空港行きの路線は成田線の一部らしいし、新千歳空港行きのものは千歳線の一部のようである。それに比べて、関西空港行きのものは独立した線のようであるし、宮崎空港行きのものも独立した線のようである。また、成田空港と関西空港に行く線は私鉄と共用しており、どうもJRが所有していない(第2種免許区間)らしく、本当に分からない。とりあえず、ここは独立した線としておこう。
日根野から阪和線と別れ、りんくうタウンを過ぎて海上の橋を渡り出す。前方には空港の明かりが見える…、となればよかったのだが、朝から列車にずっと乗っており、体調があまりよくない。一応、空港の明かりに向かっていったのは見ていたが、乗り物に軽くよったようである。前日まであまり動かない生活を送っていて、急に早朝から動き出し、一日中列車に乗っているとたまに起こる症状である。最近は「前日あまり動かない生活をする」ということがなくなったので、このような症状は見られない。
とりあえず、関西空港まで到着する。上まで行く気力もなく、同じ列車で引き返し、そのまま天王寺まで行く。
天王寺でうどんを食べる。食券を買ってからそれを差し出し、出てくるまでの早さに驚く。新大阪や大阪でも見ることができるが、大阪の駅にあるうどん屋はスピードがあって面白い。
天王寺から関西本線で再び奈良まで行き、そこから奈良線の列車に乗り換え、京都まで行く。すでに暗くなっており、また、体調も思わしくなく(単なる乗り物酔いであるが)外はよく分からない。ロングシートの列車で、気が付いたら奈良であった。そこから、奈良線の列車で京都まで行く。平城山駅の明かりが印象的であった。そして、奈良線内では単線のため、よく列車とすれ違った。そうしているうちの京都に着いてしまった。
という文章では、あまりにも寂しすぎる。特に、天王寺−奈良間は新規乗車なのに全く景色が分からないということになる。
1998年1月3日に、大阪からの帰りで、天満−大阪−(環状線・関西本線経由、大和路快速)−加茂−柘植−草津−長浜−福井−金沢、というルートで移動している。この中に新規乗車が含まれないのでこの「乗りつぶしシリーズ」に加えていないし、また、普通に大阪へ行っただけなので(目的は大阪・愛知県友人とともに「なんばグランド花月」等へ行ったこと。別の趣味に属する行動。)「その他の旅」シリーズにも加えていない。そこで、その時の天王寺−加茂の車窓を簡単に書くことにする。
天王寺を出ると、環状線から離れ大阪市内を走っていく。いくつもの駅を通過していく。地名自体は聞いたことがあるが、ここにあったのかと改めて思う。
そうしてだんだん郊外になっていき、柏原を超えてしばらくすると、だんだん渓谷的な景色になってくる。大阪府と奈良県の県境で、大和川に沿った狭い谷を走るのである。この景色は意外であった。天王寺を出てそれほど時間が経っておらず、また、大和路快速という、東海道・山陽本線の新快速列車と同じような列車でこのようなところを走るのである。そのうえ、このあと王寺など、大阪の通勤圏が控えている。この景色は中央本線の高蔵寺から多治見までの景色にも似ている。
渓谷を越えて平野部(盆地)に出てきて、まもなく王寺であった。町であるが、かなりの大きさがある。王寺を出ると、奈良県の盆地を走る。奈良県独特の景色が広がっている。また、1月であるのに暖かそうな天気である。日本海側に住んでいると、冬のこのような空がとてもうらやましくなる。
盆地を長閑ではなく、かなり高速で走り、郡山を超え、奈良に着く。近鉄の方が強いので駅自体それほどにぎやかさはない。その後は、盆地から離れ、少し山のようになって平城山を過ぎ、京都府に入り、木津を過ぎて、奈良線と別れていく。こちらが別線のように別れて行くが、線名自体はこちらの方が同じ関西本線なのである。そして水田のなかを走り、加茂に到着する。
なお、木津−京都間の奈良線については1991年に乗っている。
そうして、京都駅に着き、夜行列車で山陰の方へ行く。なぜかこの列車はクロスシートで、進行方向に向かって座る人と、逆に座る人が出てくる。指定席であるので、このあたりはわがままが利かず、運に任せるしかない。
途中、神戸のあたりで何となく震災のあとが見えた。暗くてよく分からない。その後寝てしまったが、岡山で機関車の付け替え等で騒がしくなる。機関車は特に乗り心地に影響しないのでどうでもよい。(このあたりが世間一般で思われている「鉄道ファン」と私の大きな違いであったりする。)
伯備線になって、何となく揺れが多くなってそれで目を覚ます。そうして、明るくなり、一応出雲市まで指定席券があったが、帰りの都合で松江で降りることにする。