注)以下の内容につきましては1999年12月の現状で書いてあります。その後、車窓が変った、線路の切換、接続する路線名の変更・合併等により自治体名が変更になったなど、現状と異なる内容のものが含まれています。1999年12月現在の内容での「旅行記」であるという認識で、あえて修正は行いませんのでご了承下さい。
この線は北陸方面と関西方面を短距離で結ぶ目的で、旧江若鉄道用地などを利用して、あるいは新しい区間で建設された路線である。高速で結ぶことを目的としているため、全線高架で踏切がないという、新幹線のような路線である。さらに車窓からいうと、全線高架ということは眺めがよく、沿線のほとんどで琵琶湖を眺めることができるのである。
そのような路線であるが、特急列車だとイヤでも通るのであるが、普通列車の場合近江塩津−永原間の接続があまりにも悪くて、北陸−関西の移動は依然として米原経由になってしまう。しかし、米原−長浜間の直流電化により新快速列車が長浜まで乗り入れてくると、北陸本線用の電車の余裕が出てきて、この近江塩津−永原間の接続は改善されつつある。福井−近江塩津間の直通普通列車ができたり、新快速列車が近江今津まで乗り入れるようになり、必ずしも米原経由をする必要がないこともある。ただし、依然として米原経由をする機会が多い。景色的にこちらの方がよく、また、長浜駅で乗り換えるより近江今津駅で乗り換えた方が楽なので、この線を利用する機会が増えることを願っている。
さて、沿線の景色である。
敦賀方面から来て、新疋田を過ぎると、近江塩津駅にさしかかるかなり前から湖西線の分岐が始まる。両者とも高速で分岐できるようにしたことと、地形の関係でかなり複雑であるが面白い分岐である。オーバークロスやアンダークロスをしたり、スノーシェルターを通っているうちに、北陸本線上下、湖西線上下が並び、近江塩津駅に入る。近江塩津を過ぎるとあっけなく別れてしまう。北陸本線の方は山に入るが、こちらはいきなり高架橋を渡る。全線高架の湖西線であるが、別れるとすぐに高架橋になるのである。高架橋を渡ると山の中に入り、トンネルを通る。トンネルを抜けてしばらくすると、交流区間から直流区間になる。サンダーバード以外の列車はすべて一度車内の電灯が消える。この死電区間が、湖西線と北陸本線の普通列車の接続を悪くしている。敦賀まで直流電化として、新快速を敦賀まで乗り入れさせようという話もある。
もう一度トンネルを通ると永原。この線は京都から遠ざかるにつれ運転本数が減っていくが、京都を出た普通列車が最も遠くまで来てここで終点となる。少し琵琶湖が見えるが、北の端であり、湾?になっているため、広大な琵琶湖ではない。トンネルを抜けしばらくするとマキノ。噂のカタカナの駅で、以前は珍しがられたが、今はそんなに騒がなくなってしまった。JR何とかというアルファベットまで入っている駅までできてしまったのだからどうでもよくなったのだろう。マキノからはトンネルもなくなり、広い琵琶湖を少し高いところからたっぷり見ることができる。水田も多く、つい海のそばの低いところを走っている感じがするが、琵琶湖自体標高85mあるので、そんなに低いわけではない。近江中庄を過ぎ、しばらくすると町になり近江今津に着く。2面4線で、北陸本線から来た普通列車はここで終わりであると同時に、新快速が1時間に1本、ここまで来るようになった。この駅で乗り換えると思うのだが、湖西線の駅はどれも高架であるため、駅の造り自体はそんなに駅によって変わらない。ただし階段の段数が多いということと、オイルショックの時代に作られたため、コンクリートむき出しということがとても気になる。ここから若狭方面(小浜線上中駅)まで、鉄道を造ろうという話ができては消えてを繰り返している。数年前に造るという話を聞いたが今はどうなったのだろうか。
近江今津を出て、琵琶湖を見ながら、国道161号線をオーバークロスし、少し内陸に入る。「内陸に入る」といっても、線路自体が入っていくのではなく、陸地が琵琶湖に張り出しているのである。安曇川が運んできた土砂で三角州(円弧状三角州)になっているのである。琵琶湖自体、流れというものがないので、そうなってしまうようである。そのようなところにある程度の町があり、新旭・安曇川・近江高島と過ぎていく。近江高島の駅前にある病院が印象的である。
近江高島を出ると、山が湖の近くまで来るため、湖西線が琵琶湖の近くを通る。トンネルを通りながら北小松を過ぎ、近江舞子に到着する。ここは以前、新快速列車の終点だった駅で、今でも普通列車の多くがこの駅を終点としている。琵琶湖のリゾート地の中心で、夏になると泳ぎに来る人が多い。そこから、琵琶湖を見ながら比良・志賀・蓬莱・和邇・小野と過ぎていき、琵琶湖が狭くなり琵琶湖大橋を過ぎると堅田から大津市に入る。まわりも琵琶湖沿いの農村から、京都・大阪のベットタウンとなってきた。
対岸にも町が広がっている。雄琴を過ぎ、比叡山坂本では隣に高速道路が並行する。そして唐崎を経て、ときどき特急の停まる西大津。このあたりはもう、京都の一部という感じさえするが、京都へ行くには山を越えなくてはならない。そして、トンネルを過ぎて京都府に入り山科で東海道本線と合流する。